あぁ人生

キヨシはマイホームを買うのである。 新築戸建てを買う。

An otherworld awaits you

これで一国一城の主である。

夢のマイホームである。

これで一人前である。

新築戸建てを買ったのはタダの衝動である。

見栄とか、ええかっこや論理的思考によるものではない。

キヨシは知っている。手元にお金が一番残るのは賃貸であることを。

キヨシはさらに知っている。家を買うことは墓を買う事と同義であると。

キヨシはとことん知っている。住宅ローンは人生の選択肢を減らす十字架であると。

 

Go now,if you want it

それらのことを知ってもなお、キヨシは新築戸建てを買ったのだ。

チヨちゃんの積極的な内覧にトボトボと同伴するうちに見つけてしまったのだ。

まさに一目ぼれだった。今まで見てきた家で一番生活しやすかったのだ。

ベッドルーム、リビング、キッチン、風呂、トイレ、洗濯場、この全てが同じフロアなのだ

そう、マンションみたいな間取りだったのだ。2階部分がマンションの1LDKだったのだ。

 

キヨシは想像する。毎朝1階の洗濯機から2階or3階のバルコニーまで1日で2回も3回も

洗濯カゴを持って駆け上がる姿を。

 

キヨシは想像する。寝ぼけまなこをこすって、ベッドルームからトイレや水を飲みに階段を

昇り降りするダルさを。

そのダルだから解放してくれる間取りを戸建てで発見できたのはこの1軒だけだった。

外観・内装・設備・申し分なかった。

 

しかし内覧当初の11月初めは、金額面で断念せざるを得なかったのだ。

キヨシのグラグラな最終防波堤でギリギリとどまっていた。

?,380万円の380万円分が予算をはみ出ていた。

キヨシ断念した。それを伝えた営業マンは物凄く残念そうな顔をしていた。

キヨシは正直に話した。カネの問題だと。

キヨシは足元をみている。と営業マンに思われたかもしれない。

 

 

You know you will

2週間後営業マンから連絡がきた。

営業マン「キヨシさん380万円引けば買いますか?」

青天の霹靂だった。営業マンは売主と交渉を続けていたのだった。

キヨシはこう言った。

「今すぐ申込書を書きに行きます」と。

キヨシは、ずっと見られていたのだった。 足元を。

こうしてキヨシは勢いに任せて数千万の借金を両肩に背負うのであった。

 

車を手放し。タバコも止め。仏になりつつあるキヨシは、

いきなり超ド級の十字架を背負ったのであった。

 

 

Go now no better plan than to do or to die

新築戸建て人生の幸福度とモチベーションが

一生賃貸暮らしのモチベーションとを比べて

数倍違うと信じたいキヨシであった。

 

おしまいっ。

 

 

 

 

 

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